荒尾市も見習うといいと思います。

 神奈川県は、今後、加速度的に高齢化が進展していきます。
県の人口分布のグラフを見ると、1970年にはまさにピラミッド型になっており、85歳以上の方はほとんどいらっしゃらない状況でした。
これが2050年の予想となると、最も多い年齢層が85歳以上の逆ピラミッド型になります。
そうなると、これまでのシステムは機能しなくなります。
これを乗り越える仕組みを作ろうというのが、私たちの挑戦です。
それができれば、神奈川モデルとして日本全体、ひいては世界に発信していけるはずです。
 そこで、本県では、「ヘルスケア・ニューフロンティア構想」を打ち出しています。
これは、最先端医療・技術の追求というアプローチと、食の在り方や生活習慣を見直し、病気直前状態を示す「未病」を治して健康にするというアプローチ、この二つのアプローチを融合させていくというものです。
その中で、新たな市場や「未病産業」といったものが創出され、経済も活性化することでしょう。この「ヘルスケア・ニューフロンティア」を推進することで、健康寿命日本一を目指します。
 
今年5月に、ハーバード大学やワシントンDCのヘリテージ財団などで神奈川県のチャレンジについてお話しました。
その時に「未病」を米国人にどう説明するかということになり、「健康は白、病気は赤という二項対立ではない。白からだんだんグラデーションのように赤になっていく」と概念の絵を描いて説明しましたが、この話は新鮮な驚きをもって受け入れられたようでした。
このことからも、神奈川モデルを世界に発信することの意義が分かります。
 
未病を治すことと最先端医療を融合させる際、大切なのは未病を「見える化」すること、つまり日常の生活の中で未病の状態をチェックしていくことです。
 
例えば人の声を分析することで、鬱の状態をチェックできる、「心のレントゲン」というべき技術があります。また、まったく痛くない注射針を開発した横浜のベンチャーがあります。
自己採血してドラッグストアに持っていくだけで血液検査ができます。
これらの見える化の結果集まるデータをクラウドの中で分析することで、個別化医療、個別化「治」未病を実現させていこうとしています。
 
乗り越えなければいけない壁があるところにはニーズがあり、ニーズがあるところにビジネスは生まれる。それが産業になるということです。
神奈川県から成長戦略を実現し、国全体を牽引してまいります