熊本地震
「安倍総理に報告するために帰ります。(熊本に)また帰ってきます」
そんな言葉を残して、4月20日、被災地を去った松本文明内閣府防災担当副大臣(67)。熊本地震の現地対策本部長をわずか5日で“更迭”されてしまった。
松本氏が現地職員に対し「救援物資は足りているんだから文句は言わせない」と居丈高に言ったことや、「こんなメシで闘えるか」と抗議したことなどを報じた。
「現地でのお荷物ぶりは、早い段階で官邸の耳にも入っていました。文春が書くことがわかるとすぐ、官邸は本部長交代を決めました。継続性が必要な現地対策本部長は普通交代しないものですが……」(官邸関係者)
帰京した20日夜、安倍晋三首相に現地の報告をした後、松本氏は記者団のぶら下がり取材で釈明した。
「いかに食事ができなかったかについて語っていましたが、『酒と缶コーヒーを入手した』と説明し、後で慌てて酒を否定。また、国と県の情報共有に使うテレビ電話で、河野太郎担当相に自分たちへの差し入れとして、おにぎりなどを頼んだことを明かし、新たな火種を生んだ。釈明は30分に及び、河野氏はずっと横に立って待たされていた。その挙句、取材後に松本氏が先に車に乗り、大臣が見送っていました」(政治部記者)
翌21日には、総務委員会で釈明に追われ、小誌記事をこう否定した。
「まったく事実無根。私たちは食事の提供を受けたことは一度もありません」
小誌記者には「県庁の職員からおにぎりをわけてもらった。うまかったよ」と話していたのだが……。
「松本氏は都議上がりのたたき上げ。清和会所属の当選3回で、年功序列で副大臣が回ってきた。自民党が強い時しか当選できない“バブル議員”。悪い人ではないが、実務に弱く、空気が読めず、話が長いのが欠点です」(自民党関係者)
その欠点は、被災地でも発揮された。熊本県庁関係者がため息まじりに話す。
「17日に陸上自衛隊の指揮官が防災センターに来たんですが、松本氏が大きな声で『陸上自衛隊の偉い人が来ましたよー』と叫び、みんな拍手で出迎えるはめに。行方不明者の救命率が下がる“72時間の壁”が迫り、職員は寸暇を惜しんで仕事をしていた時でした。毎日2回の会議で冒頭、挨拶をするのですが、『官房長官から電話がくるんです』などと、どうでもいい話を毎回10分くらい続ける。挨拶が始まるとみんな下を向いていました」
小誌は松本氏を再び電話で直撃した。記者が「記事は事実無根か」と聞くと、
「まるで僕が啖呵を切ったような、自分のための食事を要求したような書き方で、そういう意味では事実無根」 と、20分近くとうとうと語る松本氏。ようやく「副大臣がお荷物だという声が複数出ていた」と問うと、「それは不徳のいたすところとしか言いようがないんだけど、私は懸命に支援することを考えていて、16日の本震からは、厳しい発言をしたので、そのことが響いてるのかなと思ってる。高圧的、威圧的だったのかなとそういう反省はある。荷物になったっていうのは心外千万だけど、一体誰が言ってるんだろうと思う。率直に言ってくれたらよかったのに」
結局、電話は40分に及んだ。400人いても自民党議員の人材難は深刻
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