2016年1月からの老人福祉や介護に関連する事業所の倒産件数が9月末の時点で77件となり、15年1年間の76件を超えて過去最悪の件数になったことが分かった。
東京商工リサーチが調査したもので、年間では100件を超える可能性も出てきた。
小規模事業者の倒産が目立ち、その背景として、同社は利用者集めの競争激化のほか介護報酬改定の影響もあるとみている。
15年4月の介護報酬改定では、月の平均利用延べ人数が300人以内の小規模な通所介護の基本報酬は、ほぼ一律に10%カットされた。
訪問介護も規模の大小にかかわらず5%弱の基本報酬削減となり、改定当初から小規模事業所への強い逆風を懸念する声が強かった。
今年、東京商工リサーチが実施した全国の老人福祉・介護事業者の16年3月期決算に関する調査で、赤字を含む減益企業が全体の52%と過半を占めたことや今回の小規模事業所の倒産急増などの現象について、同社は「原因のすべてではないが、報酬改定の影響があったことは否定できない」としている。