消費税
テレビでは軽減税率の特集が組まれ、コメンテーターが日本の財政赤字の多さを強調する……。増税やむなしと思っているそこのあなた、財務省にだまされています! そこで識者が緊急提言・10月消費税10%はいますぐ凍結を!
■「消費税は5%に減税を!」山本太郎・参議院議員
「今年2月1日の国会で、安倍首相に『日本以外にデフレが20年続いた国はありますか』と質問したところ、『先進国で日本以外にはない』という答えでした。深刻なデフレ下で、消費税を増税するなど、経済オンチでしかありません。月30万円を消費する家庭の場合、消費税が10%になると、軽減税率があったとしても、年間で34万2,000円も消費税を支払うことになると試算されています」
こう訴えるのは、参議院議員の山本太郎さんだ。自身のホームページで「消費税5%への減税」を野党の共通政策にするように求める署名プロジェクトも立ち上げている。
「10月の消費増税は、確実に不況を招くことになるので、延期になると思っています。ただ、増税延期では意味がない。景気が低迷している今、まず手をつけるべきは人々の生活を底上げすること。そのために、消費税廃止を目指し、まずは5%に減税すべきです」
それは、消費税には弱者を苦しめる力があるためだ。
「消費税は、’89年に3%で始まって以来、’97年、’14年の2回、上がりました。そのたびに、法人税や所得税は減税されています」
消費税が導入された’89年には19兆円あった法人税の税収は、’16年には10.3兆円に。’89年を基準とする法人税の減収額は累計192.5兆円にのぼる。一方、消費税の税収の累計は263兆円。
「この2つの数字を比較すると、消費税収の73%が、法人税の減少分に割り当てられていると見ることができます」
法人税の減税で足りなくなる税収を消費税で穴埋めしている形だ。
「法人税は利益に対してかかりますが、消費税は家計が赤字であっても、消費をする限り払わなければならない“罰金”です。金持ちを、もっと金持ちにするために消費税がある。税金は“ないところから取るな、あるところから取れ”が基本です。日々の生活に苦しむ人たちが犠牲になっていいわけはありません」
’14年4月、消費税を3%増税するとき、政府は《引き上げ分は、全額、社会保障の充実と安定化に使われます》と約束した。
「しかし、完全な形で“社会保障の充実”に使われたのは、3%の増税で増えた約8兆円の税収のうち16%ほどに過ぎません。残り84%の使途について、詳細を要求しても、『出しません』の一点張り。説明責任を果たす気もない。しかも、この7年で社会保障費は4兆円以上カットされています。消費税は社会保障のため? だまされてはいけません」
急速な少子高齢化に伴う社会保障財政の悪化は放置できない。
与野党がその懸案に向き合おうとするのは前進だろう。
しかし、給付・サービス抑制の是非を巡る応酬が目立ち、国民の不安に応える論戦になっているとは言いがたい。
解決策を探る努力をしてほしい。
年金で焦点となっているのが、支給額の改定ルールの変更だ。
これまでは物価が上がれば年金も引き上げてきたが、現役世代の賃金の動向も加味して抑制できるようにする。
見直しのための法案には、保険料を納める働き手の減少や平均寿命の伸びに応じて、給付を抑える仕組みを徹底するための措置も盛り込まれている。
ともに、年金財政の厳しい見通しを受けて決まった案だ。
立て直しを怠れば、しわ寄せは将来の世代が受けることになる。先送りできない課題である。
ただ、安倍首相も「(給付抑制は)必要な改革だ」と繰り返すだけでは済まされない。
年金が細っていく時代に、とりわけ低所得の高齢者の暮らしをどう守るのか、説明は十分でない。
年金だけでなく医療や介護、他の福祉政策を含めてどんな対策を講じ、そのための財源をどう確保するのか。
掘り下げるべき論点はそこではないか。
介護保険をめぐっては、厚生労働省の審議会で、要介護度が低い人向けのサービスの見直しなどが検討されている。
これに対し野党は、サービスが利用できなくなれば家族の負担が増すとして、「『介護離職ゼロ』に逆行する」と批判を強めている。
制度見直しのたびに介護保険を利用しづらくなっていると感じ、野党の主張にうなずく人も少なくないだろう。
ただ、年々増え続ける介護の費用をどうまかなうかという重い問題が横たわる。
支出を抑えてやりくりするのに無理があるとすれば、収入を増やすしかない。
保険料を納める対象者の年齢を今の40歳から引き下げて制度の支え手を増やす。
介護保険制度への税金の投入割合を高める。
そんな議論も避けられないのではないか。
これらは、消費税率を10%にしても、さらに財源を考えねばならない問題だ。
国民的な合意をどうやって作っていくか。
給付と負担を合わせて考えるというのが、自民、公明、民進が主導した「社会保障と税の一体改革」の理念だった。
その基本姿勢に立ち返って、議論を深めてほしい。
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