高齢者社会
2015年に1億2709万人だった日本の人口は50年後の65年には8808万人にまで減る-。国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来推計人口は、5年前の前回推計に比べると減少ペースは鈍化したが、改善幅はごくわずか。日本が今後、急激な少子高齢化と人口減に直面する事実に変わりがないことを改めて浮き彫りにした。
女性1人が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は、10年の1・39から15年は1・45にアップしている。保育の受け皿整備や出産後も女性が仕事を続けやすくする家庭と仕事の両立支援で、30歳から40歳代の出産が増えたのが要因という。今回の試算は、これに平均寿命の延びも加わり、減少スピードは落ちた。
ただ、総人口が1億人を切る時期は前回より5年後ろにずれ53年となっただけで、安倍政権が目標に掲げる「60年に1億人程度を維持」の達成には程遠い。
アベノミクス、地方創生の総合戦略、1億総活躍プラン、働き方改革実行計画と、安倍政権は毎年のように新政策を打ち出し、さまざまな課題の解決に取り組む姿勢は示している。
しかし、保育所などの待機児童ゼロの17年度達成は断念。地方創生の柱で人口減少対策にもなる東京一極集中の是正も打ち出しているが、政府機関や企業の本社機能の地方移転も思うようには進んでいない。少子化対策に本気で取り組んでいるかは疑問符が付く。
推計が示す通り、急激な人口減少は不可避である。対策を先延ばしにすることは許されない。
取り組むべき課題は大きく分けて二つあろう。一つは若者が安定した仕事を得て希望すれば結婚、出産でき、子どもの保育所探しや教育費に不安を感じずに済む環境の実現。もう一つは、年金、医療、介護の制度を支える現役世代が細り、支えられる側の高齢者が増える中で、どう負担を分かち合い、痛みを和らげるかの議論だ。
いずれも並大抵の課題ではないが、子育て支援の充実には、高齢者を中心とした現在の社会保障の構造を全世代型に転換させることが急務だ。家族や子ども向けの公的支出を増やし、子育て負担を軽減する方策が求められる。
働き手の中核となる15~64歳の生産年齢人口も、65年は15年比で41%減る見込み。労働力の確保と医療や介護の費用抑制のためには65歳以降も健康で働く人を増やしていくことが必要になる。経済力に応じた負担増や給付減、消費税増税など痛みを伴う改革は避けて通れまい。
人口の地域的な偏りも問題だ。保育所の待機児童問題が深刻で、出生率が最も低い東京に若い世代が集中する現状は、人口がいっそう減少する悪循環を招いている。
政府はこうした現実を直視し、人口減少による経済や社会保障、地域社会への影響を分析して国民に提示すべきだ。どのような国を目指すのかを幅広く議論し、戦略的に対応する時期にきている。
女性1人が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は、10年の1・39から15年は1・45にアップしている。保育の受け皿整備や出産後も女性が仕事を続けやすくする家庭と仕事の両立支援で、30歳から40歳代の出産が増えたのが要因という。今回の試算は、これに平均寿命の延びも加わり、減少スピードは落ちた。
ただ、総人口が1億人を切る時期は前回より5年後ろにずれ53年となっただけで、安倍政権が目標に掲げる「60年に1億人程度を維持」の達成には程遠い。
アベノミクス、地方創生の総合戦略、1億総活躍プラン、働き方改革実行計画と、安倍政権は毎年のように新政策を打ち出し、さまざまな課題の解決に取り組む姿勢は示している。
しかし、保育所などの待機児童ゼロの17年度達成は断念。地方創生の柱で人口減少対策にもなる東京一極集中の是正も打ち出しているが、政府機関や企業の本社機能の地方移転も思うようには進んでいない。少子化対策に本気で取り組んでいるかは疑問符が付く。
推計が示す通り、急激な人口減少は不可避である。対策を先延ばしにすることは許されない。
取り組むべき課題は大きく分けて二つあろう。一つは若者が安定した仕事を得て希望すれば結婚、出産でき、子どもの保育所探しや教育費に不安を感じずに済む環境の実現。もう一つは、年金、医療、介護の制度を支える現役世代が細り、支えられる側の高齢者が増える中で、どう負担を分かち合い、痛みを和らげるかの議論だ。
いずれも並大抵の課題ではないが、子育て支援の充実には、高齢者を中心とした現在の社会保障の構造を全世代型に転換させることが急務だ。家族や子ども向けの公的支出を増やし、子育て負担を軽減する方策が求められる。
働き手の中核となる15~64歳の生産年齢人口も、65年は15年比で41%減る見込み。労働力の確保と医療や介護の費用抑制のためには65歳以降も健康で働く人を増やしていくことが必要になる。経済力に応じた負担増や給付減、消費税増税など痛みを伴う改革は避けて通れまい。
人口の地域的な偏りも問題だ。保育所の待機児童問題が深刻で、出生率が最も低い東京に若い世代が集中する現状は、人口がいっそう減少する悪循環を招いている。
政府はこうした現実を直視し、人口減少による経済や社会保障、地域社会への影響を分析して国民に提示すべきだ。どのような国を目指すのかを幅広く議論し、戦略的に対応する時期にきている。
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